岸本医師の御著書を、私は最初に図書館で借りましたがら最初の数ページ読んだだけで
「これは買って読む本だ‼️」と直感し、4冊買い求めました。
著者/ Dr.岸本寛史・聞き手近藤雄生
「いたみを抱えた人の話を聞く」 創元社 2023年
京都大学医学部を出て最初に赴任した病院で、
初めて担当した患者は、「手の施しようのない、死を待つ人」でした。
「医師として、自分は本当に何もできないだろうか?」
自問した末、「何もできなくても、そばにいたい」
そう思って、「ただ患者と一緒にいる」ことにしました。
それは現在も続いており、自分の患者一人ひとりに10~15分程、毎日そばにいるそうです。
弱冠20代半ばで、その価値に気づいたか⁉️
★「せん妄」は薬の副作用など医学的要因だけでなく、
「患者の心(内面)」の動きが作り出しているとお考えで、そこに私は新鮮な関心を惹かれました。
●病気について2つの話①と②
①【病(やま)うことと幸福感】
30年も前の岸本医師の患者さんの話。
桜木さん(40歳女性)慢性骨髄性白血病
化学療法が奏功して退院。会社でリーダー役、復帰するつもりでいた。
退院して1ヶ月後、顔面神経麻痺を発症して受診、そのまま入院。
顔は歪み、歩くこともできなくなる。
脳に転移が認められ、脳脊髄液内へ抗がん剤を投与、放射線治療と並行。
抗がん剤を替えても化学療法が効かず、命に関わる状態が予測され、弟から骨髄移植を受ける。
その間もその後も岸本医師は【桜木さんと共にいる時間】に、
【夢の話】を聴いたりして桜木さんの内的世界を深く理解することに勤めていた。
(高橋:寝て見る「夢」は、その人の深層世界を理解する手がかりとなります。
「セラピー夢」と名付けたのは意味があったのです。
それにしても、医師が患者の夢の話を聴いて深く理解しようとするなんて⁉️)
骨髄移植の後が順調で、桜木さんは無事に退院された。
岸本医師は他の病院へ異動となったが、桜木さんは度々近況を手紙で知らせてくれた。
退院して3年後、手紙が届かなくなった。
退院して4年後、岸本医師は元いた病院へ、今度は心療内科と緩和ケア科の医師として戻って来た。
廊下で車椅子に乗って介助されている桜木さんと会った。
桜木さんはニコニコしていたが、岸本医師の顔を覚えていないようだった❗
精査の結果、【放射線治療と抗がん剤治療の晩発性副作用による白質脳症】と診断された。
呼びかけても反応が亡くなり、間もなく昼も夜も眠っている状態となり、息を引き取られた。
ここまで読んで私は、治って退院した筈の桜木さんが【晩発性副作用による白質脳症】になられたことにショックを感じ、
「何ということだ⁉️」(無情感)と思ったが、岸本医師は次のように書いている。
『桜木さんはこの世の苦楽・幸不幸を超越した境地に至られたのではないかという思いがこみあげてくる。
(略) 何を以て幸福とするかは人智を超えている、と言わざるを得ない』
私、高橋は、「この世の苦楽・幸不幸を超越した境地に至られたのではないか」と思われる人に思い当たりませんでした。
長く看護に携わって来られた方は、こういう御体験をなさっておいでなのかしら、聴かせて頂きたいと思いました。
②【病気になったことをどう受け取ったらよいものか・・・】
午前にお会いした方が「友人ががんになった」と言い、午後にお会いした方が「身内ががんになった」と話されました。
こんな偶然めいた不思議なことがしばしばあります。
どちらの方も、「どう受け取ったらよいものか? 自分に何ができるか?」という相談でした。
私はその日、午前の方にも午後の方にも、同じことを答えることになりました。
すなわち、がんになったことを不幸と観るのは、【観る人の捉え方】に不幸と見えているだけ。
【がんにはがんの言い分がある】と言われます。
「症状には、症状の発する想いがある」とも言えます。
これを聞いて理解できずに怒る人には、これ以上 本質的な話はできませんが、当日のお二人は話の通じる方でした。
*がんになったご本人が、心の中でがんに訊いてみる。
患部に手を当ててもよし
「どうしてがんになったの?」
「私に何を伝えたいの?」
「どうしてほしいの?」
*当人ががんと対話できなかったら、(私の前にいる)相談者様が一緒に対話してみては?
(それが出来る方たちだと思ったので)
*それでも対話が難しかったら、「セラピー夢」がお手伝いできますよ。
*がんが伝えてくれる「想い(後悔・抑圧など)」は、掬い取ってもらえると、
症状が楽になったり、翌日の検査結果が良くなったりすることがあります。
もっと言えば、身体は【話しかけてもらえるだけで喜びます】
*(高橋のビリーフ)
がんも症状も【元々は 愛のエネルギー】なので、
【病気と戦う】よりも【和解する】関係になった方が好転しやすいようです。
誰にでも通じる話ではありませんが、通じますか?